今回の宮崎県の「日昇」破産は、単なる一社の問題ではなく、日本の太陽光発電業界全体が「導入拡大期」から「淘汰・再編期」に入ったことを象徴する出来事と考えられます。昨年度売上2,600万円規模の施工会社であり、受注減少が直接の原因とされています。
① 太陽光発電業界の現状
2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降、日本では太陽光発電所の建設ラッシュが続きました。
しかし現在は、FIT買取価格の大幅低下、適地不足、メガソーラーへの規制強化、金利上昇、中国製パネルとの価格競争などにより、新規建設案件が急減しています。
特に施工会社は、「建てれば儲かる時代」「作れば売れる時代」が終わり、受注確保が非常に厳しくなっています。
② 太陽光発電業界の経営状況
業界を大きく分けると次のようになります。
| 分野 | 状況 |
|---|---|
| パネルメーカー | 中国勢が圧倒的優位 |
| EPC(設計・施工) | 利益率低下 |
| 地場施工会社 | 倒産増加 |
| O&M(保守管理) | 好調 |
| 発電事業者 | 比較的安定 |
| 蓄電池事業 | 成長中 |
現在最も苦しいのは、地方の中小施工会社です。
FIT時代のような大型案件が激減しているためです。
③ 政策環境の変化
日本政府は近年、
- メガソーラー規制強化
- 景観保護
- 森林伐採規制
- 地域共生義務
を進めています。
さらに、2027年度以降は大規模地上設置型太陽光への支援縮小も検討されています。
これは施工会社にとって逆風です。
④ しかし市場そのものは消えるわけではない
むしろ成長分野は変わっています。
- 屋根置き太陽光
工場、倉庫、物流センターへの設置需要は増加しています。
- 自家消費型太陽光
売電よりも「電気代削減」が主目的になっています。
- 蓄電池
太陽光+蓄電池の案件が急増。
- PPAモデル
初期投資ゼロで導入する企業が増加しています。
⑤ 今後10年間の有望分野
特に注目されるのは次の5分野です。
- 太陽光設備の保守管理(O&M)
- 卒FIT設備の再活用
- 蓄電池併設
- ペロブスカイト太陽電池
- リパワリング・リプレース
政府も次世代太陽電池としてペロブスカイト電池を重点支援しています。
⑥ ノーブルテクノラボとしての見方
バイオマス業界と比較すると非常に興味深い状況です。
太陽光発電は、
「建設する時代」から「運用する時代」へ移行しています。
一方、バイオマス熱利用は、
- ボイラー更新
- 燃料供給
- 熱需要開拓
- J-クレジット
といった運用ビジネスが主体です。
つまり、太陽光業界が今経験している施工会社淘汰は、FIT制度による急成長産業が成熟産業へ移る過程とも言えます。
今後5年間で太陽光業界は、
- 中小施工会社の淘汰
- 大手への集約
- 保守管理ビジネスへの転換
がさらに進む可能性が高いでしょう。
反対に、蓄電池、ペロブスカイト、既設設備の再投資市場は大きな成長余地があります。
農都会議やバイオマス熱利用ユーザー協会(BUUHA)の視点では、「太陽光単独」ではなく、太陽光+蓄電池+バイオマス熱利用+地域マイクログリッドという統合型エネルギーシステムが次の成長テーマになると考えられます。