③バイオマスプラスチック 国内・海外ニュース

2026年 生分解性樹脂/バイオマスプラスチックの新時代(三菱化学PBT撤退に対して)

三菱ケミカルによるタイ合弁でのPBS系生分解性樹脂事業からの撤退は、バイオマスプラスチック・生分解性樹脂業界にとって極めて象徴的な出来事である。

コスト競争力向上の切り札として期待された海外量産体制であっても、市場形成の壁、需要拡大の難しさ、既存石油系樹脂との価格差という現実は、想像以上に厳しかったということであろう。

これは単なる一企業の撤退ではなく、「環境対応材料は理想だけでは普及しない」という市場からの重いメッセージでもある。
しかし、ここで歩みを止めれば、日本の材料産業の未来そのものが失われる。現在、世界ではESG投資、脱炭素政策、海洋プラスチック対策、EU規制強化など、“持続可能材料”への流れ自体は確実に加速している。

短期的には逆風に見えても、長期的には社会構造そのものが変化していることを見誤ってはならない。

むしろ今後求められるのは、「夢の新素材」を追う姿勢だけではなく、用途を絞り込み、性能・価格・回収システム・LCAを現実的に成立させる“地に足の着いた事業設計”である。

日本企業には、高度な材料設計技術、品質管理、複合化技術、加工技術という世界トップクラスの強みがある。ここを諦めれば、日本の化学産業は単なる汎用品価格競争へと埋没しかねない。

ノーブルテクノラボは、現在も挑戦を続ける各企業、研究者、コンパウンドメーカー、成形加工メーカーに対し、心から敬意を表したい。

市場が厳しい時代だからこそ、本当に価値ある技術が残る。今は「撤退の時代」ではなく、「選別と再構築の時代」の始まりである。

日本発のバイオマスプラスチック・生分解性樹脂技術が、次の10年で再び世界を驚かせることを期待したい。

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